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令和7年度 「第1回がっぱ会議」開催報告

令和7年5月24日(土)に、対面とオンラインで開催した「金沢がん共生まちづくり3.0地域連携会議「第1回がっぱ会議」について開催のご報告をいたします。

1.日時 令和7年5月24日(土)18時~

2.場所 元ちゃんハウス及びオンライン 
     金沢市石引4-4-10 越屋メディカルケアビル

3.参加者 金沢市等の企業・団体および当会より 延べ13名

4.内容報告

(1)孤立を防ぐための連携
 現在、地域包括支援センターを利用しているがん患者の多くは高齢者となっています。介護保険の対象となる40歳以上のがん患者も本来は地域包括支援センターを利用可能であるにも関わらず、利用状況は限定的であるという報告があります。
 その背景には、「自分はまだ対象ではない」といった誤解やそもそも福祉サービスの存在自体を知らないといった情報不足があると考えられます。加えて、利用したくないという心理的なハードルもあると考えられます。そのため、がん患者が本来受けられる支援を適切に利用できるよう、本人の意思や尊厳を尊重しつつ、地域の関係機関と連携しながら丁寧な情報提供を行う必要があると考えられます。
 また、高齢者の家族がいない世帯では、福祉や介護が身近なものとして認識されておらず理解が浅い場合もあります。そのため、その点を踏まえた支援の在り方も求められます。
 がん患者の孤立には、AYA世代、子育て世代、就労世代、高齢者といったライフステージ事に異なる要因が存在します。したがって、それぞれの世代に応じた適切な支援を提供することが重要だと考えられます。自団体のみで対応が難しい場合には、他団体と連携し支援の輪を広げていくことが課題としてあげられます。


(2)地域団体や企業との連携
 元ちゃんハウスは、「がん患者・家族とともにある」という立場から、当事者の声を継続的に聞き取ってきました。その経験を活かし、地域の企業や団体と連携してがんに関する課題解決を図ることは、がん患者およびその家族の社会参加を促進するうえで極めて有意義だと考えます。
 これまでも連携は進めてきましたが、今年度は関係団体の数が増え連携の輪がより一層広がっています。今後は、各団体・企業が直面している課題やそれぞれが可能な支援内容についての情報共有をより活発に行う必要があると考えます。
 今回の「がっぱ会議」では新たな取り組みとして、各団体が今後実施予定のイベントや活動を広くPRする時間を設けました。このような取り組みは元ちゃんハウスとつながりを維持・強化する上で有効であり今後も継続すべき取り組みでしょう。
 その一方で、元ちゃんハウスには情報発信力の弱さという課題があります。今後は、連携している各団体の強みやネットワークを活用し、発信力の向上を図る必要があると考えております。


(3)がん患者の社会復帰・就労
 がん患者が社会復帰を目指す際には、二つの大きな障壁が存在します。一つはがん患者個人が抱えている課題であり、もう一つは周囲の受け入れ体制に起因する課題です。
 個人の抱える課題としては、治療との両立の難しさ、体調の変化が大きいこと、がんという重大な疾患に直面したことによる精神的ショックなど心身両面の負担が大きいことに起因する課題です。こうした様々な要因によって一時的にふさぎ込んでしまい、社会的な交流を避けるケースは多く見受けられます。
 患者さん本人が社会復帰を希望するフェーズにいたとしても、職場や地域社会において十分な理解や支援体制が整っていない現状があります。これが、復職や社会参加の妨げとなっているでしょう。
 したがって、がん患者本人の心身のケアだけでなく周囲の理解と支援体制の整備も平行して進めていく必要があると考えます。


(4)がん・キャリア教育
 近年、小・中・高等学校においてがん教育の導入が進んでおり、大学や専門学校といった高等教育機関でもがん教育及びキャリア支援の取り組みが行われています。しかしながら依然として社会にはがんに対する誤解や偏見が根強く残っています。
 将来的には、がん教育を受けた世代が社会の中心を担いがん患者への支援が地域に根差した「当たり前のケア」として定着することが期待されますが、現段階ではそのような社会には至っていません。今後がん・キャリア教育を受けてない“間の世代”が支援から取り残され孤立する可能性もはらんでいます。
 元ちゃんハウスでは、日々がんとむきあう人々と接する中で孤独や孤立を経験している事例を多く目の当たりにしています。こうした現状を踏まえると、がん教育・キャリア教育は学校現場にとどまらず、職場や地域社会へと拡大していく必要があるでしょう。
 がんとむきあう会では、E-learning教材を通じてがん患者やその関係者の声を届ける取り組みを行っています。このコンテンツのさらなる充実を図ることががんに対する誤解や偏見を減らすための有効な手段となりうると考えております。

以上です。

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